自分に合った介護食は「タンパク質」で選ぼう

自分に合った介護食は「タンパク質」で選ぼう
自分に合った介護食は「タンパク質」で選ぼう

「介護食」とひとくちに言っても、現在はとても様々な種類があり、商品によって含まれるカロリーや栄養素も大きく異なります。
特に「タンパク質」は、少なく抑えるのか、それとも多めに摂るのか、からだの状態によって摂取量の目安が大きく変わる重要な栄養素です。

今回の記事では、具体的にどのようなからだの状態のときに「低タンパク」「高タンパク」を目指すのかを解説します。
そのうえで、それぞれに合った献立の考え方や、おすすめの市販品などを紹介します。

最近タンパク質の量に注意した食事を心がけるよう医師から指示された方や、よく耳にする「タンパク質調整」について知っておきたいという方にもおすすめです。

 

 

介護食を選ぶポイントは「タンパク質」の量

介護食は、現在どのようなからだの状態にあるかによって、選ぶものが異なります。
今回解説するタンパク質に関する介護食には、主に「腎臓病(腎不全)」と「食欲不振や嚥下障害」がありますが、この2つは「摂取量」についての考え方が正反対です。
その違いについて、まずは押さえていきましょう。

【1】腎臓病(腎不全)には「低タンパク」

もしも腎臓病(腎不全)と診断された場合は、タンパク質を控える食事療法を行うことになります。

人間のからだは、タンパク質・炭水化物・脂質の3つの栄養素を燃やして活動するためのエネルギーを得ています。ですが、タンパク質だけは燃やす際に毒素も発生してしまいます。

腎臓には、これらを尿と一緒にからだの外へ排泄する働きがあります。ですが、腎臓が弱っていると、この働きをするのにとても負担がかかるのです。
そこで、毒素のもとになるタンパク質の摂取量をあらかじめ減らして、腎臓の仕事量を減らすようにします。

【2】食欲不振や嚥下障害には「高タンパク」

「高タンパク」の介護食は、ご高齢になって噛む力や飲み込む力が弱まってきた方、嚥下障害のある方などに適しています。

嚥下障害のある方は、普通の固形食を飲み込むのが難しいため、きざみ食やミキサー食などが一般的です。
ですが、それでも食べづらかったり、美味しくなかったりという理由などから、次第に食事がストレスになり、食欲がなくなってしまう場合があります。

すると、エネルギーやタンパク質、水分など、健康を維持するために必要な栄養素が不足しやすくなるのです。そういった低栄養の状態を防ぐために、飲み込みやすくて高タンパクな食品で補います。

腎臓病(腎不全)「低タンパク」の介護食

腎臓病(腎不全)と診断されたら、タンパク質を減らす「低タンパク」を心がけた食事を始めます。ここでは、具体的にどのように主食やおかずを選んでいけばよいかを紹介します。

低タンパク質の介護食(1)主食を低タンパク食品にする

腎臓病の食事療法をスタートしたら、最初にとりくんでほしいことは、主食を低タンパク食品に置きかえることです。

毎日のように食べている白米やパン、スパゲティなどの主食は、低タンパク食品が一通り揃っています。
最近では、味も普通のものと変わらないほど美味しくなっているため、他のご家族の分と作り分ける必要がありません。

低タンパク食品は、塩分やカリウム、リンなどの量も低く調整しているものが大半なので、健康食としてもおすすめです。

低タンパク質の介護食(2)おかずのメニューで増やす

腎臓病の食事療法の基本は、主食からタンパク質を減らし、その分おかずで良質なタンパク質を摂ることです。

肉や魚、大豆や牛乳などに含まれるタンパク質は、健康を維持するためにとても大切なものです。そのため、腎臓病でたんぱく質制限がスタートしても完全に断つわけではなく、基本的には自分に合った量を摂取していきます。

最初のうちは、どの食材にどの程度のタンパク質が含まれているのかわかりづらいものです。そこで、メニューごと変えることをおすすめします。
麻婆豆腐→麻婆茄子
カルボナーラ、ミートソース→ナポリタン、ペペロンチーノ

タンパク質の多い食材を使うメニューをやめれば、毎回食材を計って減らす手間が省けます。低タンパクの食事作りに慣れてきたら、今度はタンパク質が多いメニューから肉や魚などを減らしてみましょう。
低たんぱくの食事は、各病院や施設がアップしているレシピがたくさんあるので、ぜひ参考にしてみて下さい。

食欲不振や嚥下障害「高タンパク」の介護食

食欲不振や、噛む力や飲み込む力が弱まっている方の場合は、少ない量でも「高タンパク」を得られる食事を目指します。
ここでは、具体的にどのような食品で補えばよいかを紹介します。

高タンパク質の介護食(1)とろみのあるゼリーやジュースをプラス

食欲不振や、噛む力や飲み込む力が弱まっている方には、ストレスを感じずに飲み込めて、ごく少量でも高タンパク、高カロリーが摂れるものがおすすめです。
できればおやつ感覚で食べられるものがよいでしょう。

特に、手軽につるりと食べられるゼリーや、とろみのあるジュースなどがおすすめです。味のバラエティが豊富なのでご自身で選ぶこともでき、それが食べる楽しみにつながります。

普通のジュースは飲み込むときに喉にひっかかりやすいため、とろみのついたものを選びましょう。

高タンパク質の介護食(2)高栄養の嚥下食も◎

食欲不振や、噛む力や飲み込む力が弱まっている方は、少量でも栄養やエネルギーをたくさん摂れる食事がおすすめです。

手作りの嚥下食でももちろん大丈夫ですが、やわらかくて飲み込みやすく、栄養素が調整されている市販品もストックしておくと便利です。
タンパク質やエネルギーといった大切な栄養素のほか、食物繊維やカルシウムなども摂れる商品が多く、からだの状態に合わせて選べます。

タンパク質調整の介護食は市販品も活用しましょう

市販品には、タンパク質調整の介護食がたくさんあります。低タンパク・高タンパクどちらも豊富に揃っているので、からだの状態に合わせて選んで下さい。

たんぱく質1/12.5越後米粒タイプ1kg【低タンパク質】

「たんぱく質1/12.5越後米粒タイプ」は、植物性乳酸菌発酵熟成法により、普通のお米に比べてたんぱく質を1/12.5までカットしています。炊飯後、100gあたりのたんぱく質は0.2gまで抑えられますが、エネルギーはしっかり156.7kcal摂れます。

また、腎臓病の食事療法で気をつける必要がある、塩分、カリウム、リンも低く調整されています。
味にもこだわりがあるため、普通のお米と変わらずにお使いいただけます。

ミニタス たんぱく質ゼリー オレンジ味 26g×9個【高タンパク質】

「ミニタスたんぱく質ゼリー」は、1個たったの26gですが、エネルギー40kcal、たんぱく質5.0gを摂取できる高カロリーゼリーです。それ以外にも、食物繊維を配合しています。

サイズが小さいため、デザートやおやつとして普段の食事に加えてもむりなく食べられます。食べやすさに配慮した、舌でつぶせるユニバーサルデザインフード(UDF)です。

オレンジ味のほかに、食物繊維の多いもも味、高エネルギーのりんご味があります。フルーツの自然な酸味が味わえるので、おすすめです。

やさしい献立 容易にかめる 貝柱のマカロニのグラタン風 100g×6袋Y1-10【低タンパク質】

「やさしい献立 容易にかめる」シリーズは、商品名の通り、舌でつぶせるほどやわらかいユニバーサルデザインフード(UDF)です。1個(100g)でエネルギーを97kcal摂取できますが、タンパク質はしっかりと2.3gに抑えられています。

タンパク質が高いため、腎臓病の食事療法を行っているとあまり食べられないホワイトソースのメニューは、市販品の介護食がおすすめです。
このシリーズにはシチューやハンバーグなど様々な種類があるので、食べる楽しみを感じてもらいやすい商品です。

まとめ:からだの状態に合ったタンパク質の量を知りましょう

毎日の食事で摂るべきタンパク質の量は、からだの状態に合わせて違ってきます。

腎臓病(腎不全)の場合は、腎臓に負担をかけないようにタンパク質を減らします。
反対に、食欲不振や嚥下困難などの場合は、少ない食事量で高いタンパク質を摂るようにします。

曖昧な知識のままで始めてしまうと、逆効果になってしまい、非常に危険です。
ご自分やご家族がどちらを心がけるべきなのかをしっかり把握したうえで、それに合ったタンパク質の量を摂るようにして下さい。

食事療法は、ほかの持病やアレルギーとの兼ね合いなどもあります。必ず主治医や管理栄養士などに相談しながら行いましょう。

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